源氏の君2006/03/09 23:38

清らなる 深山の春に咲き初むる

           花に惹かれし 心はいかに


源氏の君と女性たちとの出会いは、どれもとても美しく描かれています。
たいていの場合、会っていきなり恋に落ちる、と言うパターンが多いよう
ですが(^^;
中でも、若紫との出会いのシーンは、山の清浄な空気まで感じられて
印象に残っています。

ふと見かけた少女のあまりの愛らしさに、思わず足を止めてしまう源氏の君。
けれど、そのあどけない少女に、どこか藤壺の宮に似ている面差しを見て
いたのですね。
結局のところ、源氏の君の心のうちは、常に叶わぬ恋の相手である藤壺
の宮が占めている。
面影の似ている少女を引き取って、側で育てられたらと言う夢も、男の
エゴであると言えるかも・・・

どうも、源氏の君にはついつい辛い評価をしてしまいがちな私ですが(^^;
それでも、この若紫との出会いは、どことなくほほえましく思えてしまったり
するのです。

朧月夜の君2006/03/31 09:00

夢宵の名残の扇 君の手に

         月影宿る 道を示せと


朧月夜の君、意外と女性に人気があるようです。
初々しくも情熱的で、しかもただ流されるだけの弱い女性ではない。
しっかりした意志を持った姫君なのですね。

確かに出会いにおいては、源氏の君の一方的な拉致(?)のようなもの(^^;
それでも、決してはしたなく騒いだりせず・・・高貴な姫ですから(笑)
と同時に、朧月夜の君には相手が誰か、見当がついたでしょうし。
この人なら、と覚悟を決めたのかもしれません。
名前を教えてほしいと言う源氏の君に対しても、「名前を明かさないまま
死んでしまったら、草の原までは訪ねて下さらないのかしら」などと
なんとも心憎い答え様。
これは、なかなか手強いぞ、と源氏の君に思わせたのかな(笑)
別れ際にお互いの扇を取り替える、と言うのはステキ。

桜が満開になるこの季節、まさに花の宴にふさわしい、あでやかな
女性ですね。