白木蓮 -斎藤一-2011/03/21 23:08

あれから
幾度 春が巡ったのだろう


熱き志しを貫いた者たちの多くは
すでに
年を重ねることもない


もしかしたら
あの頃のまま


どこかで
剣を振っているのかもしれない


時代の流れなど
意にも介さず


皆で笑いながら
奔り続けているのかもしれない


ふと
そんな妄想に捕らわれる


なつかしんでいるのか
それとも


悔いているのだろうか
生き延びてしまったことを


たとえ
形が変わったとしても


武士としての居ずまいは
胸の内で正したまま


自分に与えられた役目を
ただ全うする


それもまた
己が運命なのかもしれない


今年も
木蓮の樹々が白い花をつける


まるで
あの頃の我等のように


天を目指し
誇らしげな様子で


振り返るのは
ひとときだけ


友の生き様に恥じぬよう
背を張って


新しい春へと
歩みを運ぶこととしよう



(イメージポエム、斎藤一)