沖田総司2006/02/05 00:05

消え行くと 知りてなお降る淡雪を

         受くるこの手の 温み(ぬくみ)かすかに


2月は、実際にはかなり寒い月なのだとわかっていても
如月、と言う響きを聞くと、どことなく早春の香りがしそうで・・・
これからの時期は、冬と春との綱引きみたいな気がします。
暖かくなったり、寒さが戻ったり、行ったり来たりしながらも、
少しずつ春の方に引っ張られて行く。
雪もまだ降るのでしょうけれど、それは少しずつ淡くはかなく
なって行くのでしょう。

生きることや、自分の命について、不安を覚える人にとって
淡雪と言うのは、ひどく切なく映るのかもしれない。
すでに胸の病に苦しんでいた沖田総司は、早春のはかない雪を
どんな思いで眺めたのでしょう。
近藤勇をして「あんなに死に対して悟りきったやつはいない」と
言わしめた沖田総司ですが、人知れず我が身の宿命に涙した
日もあったのだろうかと、ふと哀しく思いました。

大海人皇子2006/02/12 00:08

気高きは 空に香りて咲く梅の

             花より白き 君の横顔


大海人皇子と言う人は、きっと額田王を心から愛しく思って
いたのでしょう。
大海人皇子が額田王を梅見に誘うと言う状況は、あくまでも井上靖さんの
小説「額田女王」の中の1シーンにすぎませんが、それでも実際にそんな
ことがあってもおかしくない。
小説の印象が強すぎて、どうしても大海人皇子と言うと、梅の花を思い
浮かべてしまうのです(^^;
大海人皇子にとって、額田王は白く高貴な花のように映っていたのかな。
そんな額田王を振り向かせることに必死だったのでは、と・・・

でも、皮肉な運命は、大海人皇子にとっておそらく一番のライバルとも
言えるであろう相手、中大兄皇子に額田王を奪わせます。
子供までなした最愛の女性を奪われ、そして後に次期天皇の座まで
自分の手から転がり落ちて、中大兄皇子の子である大友皇子に行く
ことになり・・・
壬申の乱は、大海人皇子の男としての誇りを賭けた戦いだったのかも
しれません。

姜維2006/02/25 17:20

志しをまげるにあらず 真実が

            導きて我 この運得たり


もともと魏の武将だった姜維が、なぜ蜀に降ったか・・・
三国志演義では、どうも孔明の策に見事落ちてしまったようにも
書かれています(笑)
疑いをかけられ、城に戻れなくさせ(このあたりも、演義では孔明が
そのように仕向けたようになってるんですねえ)、心底落胆して
しまったところに、「これこれ」と、いかにも物分りよく説得されれば、
そりゃねえ(^^; 孔明、かなり悪者入ってます(笑)

正史では、やはり疑いをかけられ、たどり着いた城門をも閉ざされ、
戻るところをなくして、諸葛亮のもとに赴いた、とだけ。
こういう場合、はたして人はどの道を取るか・・・
とことん疑いを解こうとする、でもどうやら無理っぽい(^^;
いっそどこかに逃げてしまう、落ちぶれるばかりかも(-"-;)
死んで潔白を証明する、かなり虚しい(:_;)

結局、これが運命と覚悟を決めて、敵方に降る。
姜維の場合、大正解だったと言うべきでしょうか。
諸葛亮は、姜維の才能や人柄をきっちり認めてくれたのですから。
おそらく降るにあたり、当然姜維の方も諸葛亮の人となりの噂は
聞いていたのでしょうし、この人なら、と賭けに出たのかも。
人の運命は、どこに新たなる道の入り口を用意してくれているのか
誰にも予想できませんね。