間人皇女2007/06/01 00:00

降る雨に 打たれ色増す 花の如

         秘めし想いの 褪せることなし


間人皇女(はしひとのひめみこ)、兄は中大兄皇子、
弟は大海人皇子。
後の天皇二人を兄弟に持つ皇女。
ドラマチックに生きた兄弟に劣らず、彼女の運命も
また奔流に押し流されるようでした。
あの時代、女は男のように、自分の意志ではまず
生きられない。
いえ、男性だって、なかなか思うままには
いかなかったでしょうが(^^;
女性、特に身分ある皇女ともなれば、当然のように
政略結婚の道具とされてしまいます。

間人皇女も、そんな一人。
親子ほども年の違う、孝徳天皇のもとへ嫁いだのです。
しかも孝徳天皇には、すでに小足媛と言う妃もいましたし、
彼女との間に息子(有間皇子)もいました。

間人皇女が、どんな日々を過ごしていたのかは
わかりません。
が、兄である中大兄皇子が遷都を決め、孝徳天皇が
それを退けると、天皇を残し、兄と行動を共にします。
そのこともあり、中大兄皇子との禁断の恋説も
ささやかれるわけです。

残された天皇から、皮肉とも取れる歌を贈られますが
それに対する返歌は伝わっていないらしい。
批難されるのも覚悟の上で、天皇のもとを去ったのでしょう。
儚げなイメージのある間人皇女ですが、たおやかな中にも
しっかりとした意志を持った女性だったのではと
想像します。