紅梅 -密虫-2011/02/16 00:41


もしも
この淡く香る花が
人の形を為さんとしたなら


どのような愛らしい姿と
なることだろう


人としての心を
持つことを覚えたなら


どのような思いの狭間に
揺れることだろう


無垢なまま
美しく咲く花


何にも捕らわれず
清らかに香る花


もう戻れないその様を
少しだけうらやみ


けれど決して
悔いることはない


今の自分を
みつめながら


仄かな切なさをも
かみしめながら


あの方の
お傍にいたいから



(イメージポエム、密虫)

水仙 -山南敬助-2011/01/15 12:10

その白き花は
厳しき寒さの中でも
風に向かいて咲くと言う


小さな花びらは
飾り気なく
楚々とつつましい


頼りなく伸びた茎が
無残に折れて
倒れることもある


なのに
その香りは
どこまでも
清雅で気高い


まるで
どんな姿になろうとも
ささやかな誇りに
支えられているようだ


我が志しも
この花に倣おうではないか


時代は混沌として
目指したはずの場所さえ
見失いそうになる


たとえ
夢に辿りつけず
道半ばで斃れたとしても


自分自身に
恥じることのないよう


凛とした志しを
胸に刻み続けたい



(イメージポエム 山南敬助)

冬の星 -中大兄皇子-2011/01/05 00:24

冬の星は
なんと冴え冴えと


冷たく気高い光を
放っているのだろう


息さえも
凍りつくような闇の中


その蒼白い光は
かすみもせず
よどみもせず


小さく鋭く
輝き続ける


何も
迷うことなどないのだ、と


確かな兆しを
もたらしてくれる


揺らぎはしない
ひるみはしない


この胸に
目指すものがあるなら


行く手を隠す雲など
吹き払ってみせよう
何度でも


生ぬるい情けや
狎れ合いはいらない


燦然たる意志を
掲げ続けよう


満天を司る
蒼く厳しい
冬の星のように



(イメージポエム、中大兄皇子)

椿 - 沖田総司 -2010/12/29 00:04

寒空のもと
くっきりと咲く
紅の花は


命そのものの
色のようだ


名残も見せず
咲いたままの姿で


ふいに
ぽとん、と
落ちてしまう


執着がないから、
などではないと思いたい


きっと
ぎりぎりまで


咲いて
咲いて
咲ききって


だから
見事に
散ることができるんだ


なんて
美しい、と


この目が
惹きつけられてしまう


もしかしたら
いや、たぶん


私は
うらやましいのだろう


あまりにも潔く
咲いて散る
あの椿の花が


自分の生き様を
悔いたりしたくない


だから
どんな苦しい時だって


まっすぐに
立ち向かう


いつものように
笑って


(イメージポエム、沖田総司)

会津・・・2009/04/27 10:09

阿弥陀寺の鐘楼
念願の会津への小旅行から帰って、もう2週間たちました。
ふと、会津の街並みを思い出しては、心が飛ぶことがあります。
会津藩と新撰組。
共に、最後まで幕府を守って戦った者同士。
やはり縁が深いのだなと、あらためて思いました。
会津には、容保公の墓所はもちろん、天寧寺に近藤勇の墓所が、そして
阿弥陀寺には斎藤一の墓所があります。

幕末、京都守護職に就任した会津藩主、松平容保(かたもり)。
容保が支配下に置いてくれたことにより、新選組は京の治安部隊として
働くことができたと言えるでしょう。

戊辰戦争での敗戦色が濃くなった頃、すでに新選組幹部も、戦死した者、
病で戦列から離れた者、袂を分かった者と、心細い状況となっています。
そして、局長近藤勇の捕縛、処刑。
斎藤一は、隊士たちの一部を率いて、会津へ向かい、会津藩の指揮下で
戦いました。
足を負傷して、戦列と離れていた副長土方歳三がようやく合流したものの、
土方はこの先の戦況を見越して仙台へ向うことを決めます。

斎藤は、最後まで会津藩と運命を共にすることを選び、会津に残ります。
会津は、まさに今にも落ちようとしていた。
おそらく、斎藤も死を覚悟していたのではないでしょうか。
会津藩が降伏した後も斎藤は戦い続け、容保が派遣した使者の説得で
ようやく新政府軍に投降したそうです。


会津へ行こうと決めた時、斎藤さんのお墓のある阿弥陀寺を見てみたいと
思いました。
調べると、七日町通りと言うところにある。
七日町通りは、昔ながらの建物が残っているレトロな雰囲気の通り。
なので、七日町通りまで歩いていけそうなホテルを探しました。
夕方ではありましたが、七日町通りを散歩しました。
阿弥陀寺は、七日町駅の近く。
通りに面しているので、歩いていると、いきなり境内が覗けます。

夕方だったせいか、お寺のは入り口には小さな柵が置かれ、それを
押しのけて入る勇気もないまま(笑)、通りからお寺を眺めました。
鐘楼があり、白い木蓮が咲いている静かな境内。
この中に、斎藤さんが眠っているのだなと・・・
ここまで来ただけで、境内を眺められただけで、なんだか満足しました(笑)

会津は、とてもいい街です。
いつか、また訪れる機会があることを祈って・・・
その時はもう一度、阿弥陀寺まで七日町通りをふらりと歩いてみたい。