白木蓮 -斎藤一-2011/03/21 23:08

あれから
幾度 春が巡ったのだろう


熱き志しを貫いた者たちの多くは
すでに
年を重ねることもない


もしかしたら
あの頃のまま


どこかで
剣を振っているのかもしれない


時代の流れなど
意にも介さず


皆で笑いながら
奔り続けているのかもしれない


ふと
そんな妄想に捕らわれる


なつかしんでいるのか
それとも


悔いているのだろうか
生き延びてしまったことを


たとえ
形が変わったとしても


武士としての居ずまいは
胸の内で正したまま


自分に与えられた役目を
ただ全うする


それもまた
己が運命なのかもしれない


今年も
木蓮の樹々が白い花をつける


まるで
あの頃の我等のように


天を目指し
誇らしげな様子で


振り返るのは
ひとときだけ


友の生き様に恥じぬよう
背を張って


新しい春へと
歩みを運ぶこととしよう



(イメージポエム、斎藤一)

水仙 -山南敬助-2011/01/15 12:10

その白き花は
厳しき寒さの中でも
風に向かいて咲くと言う


小さな花びらは
飾り気なく
楚々とつつましい


頼りなく伸びた茎が
無残に折れて
倒れることもある


なのに
その香りは
どこまでも
清雅で気高い


まるで
どんな姿になろうとも
ささやかな誇りに
支えられているようだ


我が志しも
この花に倣おうではないか


時代は混沌として
目指したはずの場所さえ
見失いそうになる


たとえ
夢に辿りつけず
道半ばで斃れたとしても


自分自身に
恥じることのないよう


凛とした志しを
胸に刻み続けたい



(イメージポエム 山南敬助)

椿 - 沖田総司 -2010/12/29 00:04

寒空のもと
くっきりと咲く
紅の花は


命そのものの
色のようだ


名残も見せず
咲いたままの姿で


ふいに
ぽとん、と
落ちてしまう


執着がないから、
などではないと思いたい


きっと
ぎりぎりまで


咲いて
咲いて
咲ききって


だから
見事に
散ることができるんだ


なんて
美しい、と


この目が
惹きつけられてしまう


もしかしたら
いや、たぶん


私は
うらやましいのだろう


あまりにも潔く
咲いて散る
あの椿の花が


自分の生き様を
悔いたりしたくない


だから
どんな苦しい時だって


まっすぐに
立ち向かう


いつものように
笑って


(イメージポエム、沖田総司)

沖田総司 (2)2007/01/15 00:03

斬るならば 苦しむ間すら与えずに

             この一閃は 刹那の情け


新選組を題材にした小説やら漫画やらは、かなりたくさん
あるのでしょうね。
私は漫画には疎くて・・・知らないものが多いのですが
たまたま岩崎陽子さんの「無頼」と言う漫画を見ました。

「無頼」の主人公は珍しく(?)、斎藤一。
斎藤ファンの私は、喜んで飛びついたわけです(笑)
いやもう、文句なくかっこよかった・・・のですが(^^;
それよりも目が行ってしまったのが沖田総司。
今更ながら、あらためて沖田総司に惹かれました(^^;
ここで描かれる沖田から感じたものは、強さでした。
剣の腕はもちろん、心の強さ。それも、重々しさや
悲壮感のない、あっけらかんとした強さ・・・

天才と言われる剣、それはあの時代には「斬る」ことのみを
運命づけられた剣でもあったのかもしれません。
子供のままのような天衣無縫な青年、人を斬ることが彼に
どんな変化や葛藤をもたらし、それをどう自分の中に
呑み込んでいったのか・・・

沖田の剣を想像する限り、そこに迷いは感じられません。
もしかしたら、斬られる人にしてみたら、それこそ一瞬の
苦痛もなく、と言うほうがまだいいのかも。
いえ、それでもそこには動かし難い冷徹さが存在します。
あの時代に生きた人の気持ちを、今私などがわかろうはずも
ありませんが。

何を思っていたのだろう、何に明日を見出そうとしていた
のだろう。
救いはあったのだろうか、後悔は?自己嫌悪は?
解けるはずのない謎の堂々巡り・・・
ひたすらに剣を握り続けた天才剣士の生き様を、果てしなく
想像する自分がいます。

土方歳三2006/05/30 22:42

降りやまぬ この雨を生む黒雲を

         切り裂く刃(やいば) 今はいずこに


土方歳三の、と言うより、むしろこの5月30日を命日とする沖田総司への
歌となってしまったようで・・・(^^;
試衛館時代からの強い絆で結ばれた、近藤勇、土方歳三、沖田総司。
病床にいた沖田は、近藤の処刑を知らされていなかったため、最期まで
近藤の身の上を案じていたと言います。
同じように、近藤亡き後の新選組を率いて北上していたであろう土方に
沖田の死が知らされるはずもなく・・・

一振りの刀に、己が命運を賭けて戦ってきた仲間たち。
一人、また一人と彼岸へ旅立つのを、残された者はどんな思いで
耐えていたのか。
奇しくも、土方自身も5月初めに箱館で壮絶な死を遂げています。
近藤の処刑は4月。それぞれ、先に旅立った者が、次の者を迎えに
来たのではないかと思われるほど、3人の命日は近いのですね。