有間皇子2006/09/01 08:00

平穏を望みし我と いま一人

          熱き誇りに 猛る我あり


有間皇子は、本当に中大兄皇子に対して謀反を企てていたのか?
これはいまだに、私の中では答えの出ない謎です。
有間皇子の父、孝徳天皇はあくまでも傀儡のような存在の天皇だった。
政の実権を握っていたのは、中大兄皇子。

そして、たとえ政略結婚であったとは言え、父帝の皇后だった間人皇女
を奪って行ったのも、また中大兄皇子。
しかも、それは兄妹と言う禁断の恋のはず。
まだ幼かった有間皇子には、そこまでの事情はわからなかったかも
しれませんが、それでも父帝の絶望、無念の思いは、深く伝わって
いたのではないかと思います。

失意のうちに、亡くなってしまった孝徳天皇。
その皇子である有間皇子にも、やがて策謀の手は伸びて来る。
それを避けるために、わざと物狂いの真似までして見せた有間皇子。
しかし、中大兄皇子の目をごまかすことはできそうになかった。

この時、有間皇子の胸にたぎった思いは、はたしてどんなものだったか。
自分はあくまでも静かに、歌を詠み、穏やかに暮らして行ければいいと
願ったのか、それとも・・・
父の無念、皇子としての誇り。自分にも、中大兄皇子を討ち果たし、帝と
なる資格は十分にあるはずだ、と考えたとしても不思議はない。
もし、まったくそんな思いがなかったとしたら、たとえいかにも巧妙では
あったとしても、蘇我赤兄の謀に乗ったかどうか・・・

でも、そうだとしたら、あっけなく策が破れ、中大兄皇子に尋問された時
堂々と自分の立場を主張し、認めてもよかったのではないか。
「天と赤兄のみ知る。我まったく知らず」と、きっぱりと答えた冷静さからは
まったく逆の有間像が浮かびます。
やはりあくまでも赤兄に(そして、赤兄の後ろにいる中大兄皇子に)よって
図られたことであり、自分は何も知らない、だから何ひとつ臆することは
ないのだ、と。

いったい有間皇子の真実はどこに?
これは・・・永遠の謎、かも(^^;
だからこそ、この皇子への興味が尽きない、とも言えますね(笑)